パートの壁のツボ
(Jimmyblog-No.0153)
壁は103万円or106万円or130万円or・・・?
家庭にフルタイム正社員などの主な稼ぎ手がいて、その配偶者がパート等で家計を補助している場合、パートしすぎると何か損になるのか?という話題があります。
よく目にするのは「家計全体での手取額が減る(ことになるので損)」という表現です。
しかしこれはかなり近視眼的な捉え方であり、また、壁のライン(103万円、106万円、130万円・・・・)も一体どういう位置関係なのか、どのようなケースでどのような影響があるのか、整理されないまま数字が独り歩きして、パート勤務している人の不安をあおっているような印象を受けます。
パートの壁のツボ
自分の壁について、そのしくみを理解していれば、これから年末にかけても安心して働くことができるのではないでしょうか。
壁のツボは、以下あたりかと思われます。
・昔あった所得税の103万円の壁(超えると主な稼ぎ手の税金が高くなるなど)は、もう無い。
・103万円の壁があるとすれば、主な稼ぎ手の勤務先から103万円基準で配偶者手当(扶養手当)が出ているケースのみ。
・130万円の壁は実際にはアバウトでゆるい運用になっている。
・106万円の壁は、当初の契約内容から計算するため、残業代は含まない。つまり就業調整してもしなくても自分の社保加入判定には影響しない。
パートの壁フローチャート
言葉で説明すると煩雑になるので、フローチャートを作ってみました。
アナタがパート勤務している立場でフローチャートを進めると、自分には“パートの壁”なるものがあるのか無いのか?あるとしたらその年収ラインは?がわかるようになっています。
次のファイルをクリックorタップしてチェックしてみて下さい。
結果の見方
さてフローチャートをやってみて、結果はどうだったでしょうか。
結果①~⑤の意味は、次のとおりです。
結果①:家庭の主な稼ぎ手が自営業者(個人事業者)であったり、サラリーマンであっても社保加入していなければ、そもそも壁は無いと考えられます。
結果②:パート年収が130万円超になるといわゆる社保の扶養を外れ、自分で国保・国民年金(@19千円/月)を支払うこととされています。
結果③:パート年収が130万円超で②と同様になりますが、さらに働いて3/4基準(ほぼフルタイム)を満たせば、自分でパート先の社保(健保・厚生)へ加入することとなります。
結果④:パート年収が106万円超の契約であれば、自分でパート先の社保(健保・厚生)へ加入することとなります。
結果⑤:あなたの配偶者の勤務先会社等に配偶者手当の制度があり、その支給基準が103万円であれば、パート年収103万円超になると手当がゼロになります。
“働き損”になるのか?
103万円の壁はレアケース、130万円の壁はゆるいため、実際に検討すべき壁としては3/4基準(中小事業所)と106万円の壁(大企業)かと思われます。
さて、何としてもこの壁を超えないように、つまり社保加入を回避するために、雇用契約等で勤務時間などを制限しなければ“働き損”になってしまうのでしょうか?
結論から言うと、そのような事態にはならないと考えられます。
理由は、壁を超えた向こう側とこちら側(今まで?)で異なるのは、自身の社保(健保・厚生)料を自分で支払うことプラス、それだけではなく、将来の終身の厚生年金受給権が得られること、厚生年金加入と同時に国民年金加入と取扱われること、社保の傷病手当金や出産手当金があること、社保料の1/2は会社等負担、など数々のメリットがあるからです。
疑問があれば専門家へ相談を
メリットと言われてもいまいちピンとこない・・などの場合は、社労士(できれば兼税理士)等へ相談するとよいでしょう。具体的な金額での説明を受ければ、社保加入がいかに有利か納得できるかもしれません。
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