算定基礎届 | 4・5・6月に残業すると社保料で損する?

(Jimmyblog-No.0104)

 算定基礎届についてのウワサの真相

算定基礎届の対象月である4・5・6月に残業すると社保料が高くなるから損、というようなウソかホントかわからない話を時々耳にしますが、本当のところ、どうなのでしょうか?

そもそも給与明細のチェックは難しい

給与関係業務の担当者でもない限り、サラリーマンが自身の社保料(健保厚生)をチェックする機会や習慣はほとんどないかもしれません。社保料の決まり方についても、周知も十分にされていないため、よく知らないという方が多いのではないでしょうか。

社保料(社会保険料、健保厚生)の決まり方

ざっくり言うと、給与から天引きされる社保料は、“給与”が増えれば高くなり、減れば少なくなります。その“給与”とは正確に言うと“標準報酬月額”という4・5・6月の給与から算出したアナタの給与のランクの目安のようなもののことです。

ランクは原則1年に1回見直しされます。その算出作業のことを算定基礎と言い、会社等は算定基礎届なるものを年金事務所へ提出します。その後、年金事務所が各人ごとの“標準報酬月額”を決定し、会社等へ通知してきます。

算定基礎届の使われ方

算定基礎届によりアナタの給与のランクすなわち“標準報酬月額”が決定されると、それが今後1年間(9月~翌年8月)、給与から天引きされる社保料のもととなります。

そして算定基礎届の使われ方はそれだけではありません。年金事務所ではアナタの“標準報酬月額”がずーっと管理され、何かあった時(たとえば病気や介護で休んだり、出産したり、もっと先のことで言えば厚生年金をもらう側になった時)の手当金や年金受取額の計算のもとにもなります。

集計対象月(4~6月)には残業を減らすべき?

そんな事が現実に可能なのか?という問題はありますが、仮に可能だとします。その場合、残業を減らす→“標準報酬月額”のランクが下がる→社保料が減ることにより、目先(今後1年間)の給与の手取額は多少増えるかもしれません。けれども何かあった時のお金は減ることになります。

何かあった時と言われても・・自分は元気だし何事もなく無事かもしれないじゃん、と思ったアナタ。病気も介護も出産も関係なくても、厚生年金を受給する場面は、生きている限りだれにでも必ず訪れます。寿命は神のみぞ知るですが、年金は「終身」というところがポイントです。

よって、ことさらに算定基礎の時期に残業を減らすべきとか、うっかり4~6月に残業すると損、などという事はありません。

特殊事情があれば別計算も可

何らかの事情で4~6月の給与額が他の月とアンバランスになっていて、通常の算定では支障がある場合には、年間平均から算定する方法も認められることがあります。そのためには会社等が申立てする必要がありますが、該当する人にとって不利益となる場合も想定されるため、本人の同意が必須とされています。

会社等から打診されて悩んだ時は、社労士や年金事務所へ相談するとよいでしょう。


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