失業保険のしくみ | 雇用保険制度の補償給付
(Jimmyblog-No.0106)
切実なお金の問題なのに周知不足の失業保険
何らかの理由で失業した時、雇用保険の失業等給付(いわゆる失業保険)という制度があり、いくばくかのお金が受け取れるらしいとは知っていても、その内容についてはよく知らないという方、多いのではないでしょうか。
サラリーマンが定期収入を失うという事は切実なお金の問題であるにも関わらず、そのしくみは複雑で、周知も十分にはされていません。何事もなければそれに越したことはないのですが、万が一の場合に何がどうなるのか、ざっくりとでも知っておけば、身を守れる場面があるかもしれません。
受給要件
失業保険をもらうには、原則、離職前2年間に12ヶ月以上、雇用保険に加入している必要があります。
雇用保険に加入って?という方。1週間の労働時間が20時間未満などでない限り、雇用保険には入っているはずです。そして給与明細の雇用保険欄に金額が印字され天引きされているはずです。また、就職した時に会社等から本人用の「雇用保険被保険者証」をもらっているかもしれません。それを確認できれば、加入期間を自分で正確に把握できます。
なお、特別の事情(倒産・解雇等、過重労働、ハラスメント、雇止めなど)による場合は、前1年間に6ヶ月以上、雇用保険に加入していればOKです。
給付額
離職前の直近6ヶ月に給与をいくらもらったかをもとに「賃金日額」なるものが計算され、それにその金額や年齢に応じた給付率(45~80%)を掛けて失業保険の給付額「基本手当日額」が決定されます。
ただし上限があります。たとえば30才以上45才未満の場合は、1日当たり7,595円がMax(令和5年5月現在)です。
給付開始日
離職後すぐにお金が受け取れるわけではなく、ハローワークへ行って求職手続きをし、待期(1週間)し、その後も離職理由によっては2ヶ月間、待った後の給付となります。
給付日数
何日分もらえるかも、離職理由(会社都合か自己都合か等)や勤続年数、年齢等により異なり複雑です。大まかに言うと、長年勤続の年配者の中途失業に手厚いしくみです。
たとえば勤続10年未満の自己都合退職の場合は、90日分しかもらえません。
受給期間
いつまでもらえるかは原則、離職日の翌日から1年間とされています。どういう意味かと言うと、もしハローワークへ行くのが遅れて給付開始も遅くなり、受給途中で離職から1年の時が経過してしまうと、まだ失業中で、もらっていない残日数分があっても切り捨てられる(もうもらえなくなる)という事です。
よって、現実に失業してしまったら、まずはハローワークへ行き、早めに必要な手続きをすることが大切です。
職業訓練校
この名称はどこかで聞いたことがあるかもしれません。これは一体どのようなものなのでしょうか?
職業訓練校とは、再就職を目指して専門技術等を学ぶための機関で、各ハローワークにより講座のメニューや開講時期はさまざまです。そしてもしタイミングなどが合えば、タダ(というかむしろ手当付き、教材費は実費)でスキルアップでき、プラス失業中のお金の面でも大きなメリットがあります。
メリットとは、失業保険給付期間中であれば、通常の失業保険プラス受講手当や交通費も一定額支給され、通学中は給付日数を超えて失業保険が続けて受け取れること。また、自己都合退職で2ヶ月間待期している人も、入学すればすぐに失業保険がもらえることです。
問題は、希望者全員が受講できるわけではないという事です。これだけ有利な制度なのでやむをえないのかもしれませんが、まず選考試験に合格しなければなりません。また、給付日数を超えて失業保険を受け取るためには、受講開始日に支給残日数が一定数以上なければなりません。
個別事情には配慮あり
ハラスメント等特別の事情で退職した場合の受給要件の緩和(1年でなく6ヶ月の雇用保険加入でOK)の他にも、事情によりすぐには働けない場合には、申請すれば受給期間を原則1年+Max3年延長できるなどの制度も用意されています。
また、受給要件を満たすかの判定時にも、複数の勤務先の期間を通算(合計)できるなどの例外的な取扱いもあります。
緊急事態には相談が有益
そのような配慮もされている失業保険ですが、内容はとにかく複雑で、失業という予期せぬツライ事態の中で自力でいろいろ調べて対応することは、かなり困難と思われます。
自分の場合、受給できるのかや、その他気になる事があるが、どうしたらよいかよくわからないという時には、1人で悩まず、社労士等へ相談するとよいでしょう。
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